日本吉田栄養健康研究株式会社
Search
Name
Description
Content
研究所紹介
研究情報
基礎知識
健康・栄養情報
健康食品《の安全性・有効性情報
お問合わせ
ビタミンB1解説
Source:
|
Author:
構築グループ
|
Published time:
2015-04-12
|
92
Views
|
Share:
A.
ビタミンB
1
とは?
ビタミンB
1
(thiamin:チアミン) は、1910年に鈴木梅太郎によって米糠から発見された水溶性のビタミンです (12) (15) 。天然にはチアミン1リン酸 (TMP) 、チアミン2リン酸 (TPPまたはTDP) 、チアミン3リン酸 (TTP) の3種類のリン酸エステルが存在します。これら3種類のビタミンB
1
のリン酸エステル体は、摂取するとビタミンB
1
となって吸収され、生体内で再びリン酸化されます。体内では主にチアミン2リン酸の形で存在し、糖質および分岐鎖アミノ酸代謝における酵素 (トランスケトラーゼ、ピルビン酸脱水素酵素、α-ケトグルタル酸脱水素酵素) の補酵素として働きます (12) (15) 。
B.
ビタミンB
1
の供給源になる食品
食品に含まれるビタミンB
1
含有量は以下の通りです (5) 。(可食部100 gあたり)
C.
ビタミンB
1
の特性 (単位・化学的安定性)
ビタミンB
1
は水溶性で、酸性では安定ですが、アルカリ性、熱には不安定です (12) (15) 。
D.
ビタミンB
1
の吸収や働き
経口摂取したビタミンB
1
は、小腸から吸収されます。摂取したビタミンB
1
が低濃度の時は能動輸送によって、高濃度の時は受動拡散によって吸収されます。吸収されたビタミンB
1
は補酵素として利用されます。利用された後は、尿中や糞中に排泄されます (12) (16) 。
補足
ビタミンB
1
を分解し生理活性を消失させてしまう酵素であるチアミナーゼ (アノイリナーゼともいいます) は、貝類、わらびやぜんまいなどの山菜、鯉や鮒などの淡水魚に含まれます (3) (6) (9) 。しかし、チアミナーゼは加熱することによって活性を失います (11) 。
E.
ビタミンB
1
不足の問題
ビタミンB
1
不足はどのような時に起こるの?
食事からの摂取が不足した時や、糖質の多い食品やアルコールを多量に摂取した時など、ビタミンB
1
の需要が高まると不足しやすくなります (8) 。
ビタミンB
1
が不足するとどのような症状が起こるの?
糖質の代謝に関与するビタミンB
1
が不足すると、糖質を主なエネルギー源としている神経や脳に影響が現れます。精白米を常食している東洋人では脚気、アルコールを多飲する西洋人ではウェルニッケ脳症などが見られます (8) 。
脚気・・・
全身倦怠・体重低下・四肢の知覚障害・腱反射消失・心悸亢進・心拡大 (12)
ウェルニッケ脳症・・・
眼球運動麻痺・歩行運動失調・意識障害。ウェルニッケ脳症は慢性化するとコルサコフ症という精神病に移行します (12) 。
F.
ビタミンB
1
過剰摂取のリスク
食事やサプリメントによる、ビタミンB
1
の過剰摂取についての悪影響は報告されていません。しかし、非経口的摂取により、まれに過敏症を引き起こすという報告があります (12) 。
G.
ビタミンB
1
はどのぐらい摂取すればよいの?
各年齢別のビタミンB
1
の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2015年版) は以下の通りです (1) 。
H.
ビタミンB
1
摂取状況
平成29年の国民健康・栄養調査では、男性で平均
0.93 mg/日
、女性で平均
0.81 mg/日
摂取しています (14) 。
I.
栄養機能食品としての関連情報
ビタミンB
1
は、栄養機能食品として表示許可されています。
・上限値は25 mg、下限値は0.36 mgです。
・ビタミンB
1
の栄養機能表示
「ビタミンB
1
は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
・注意喚起
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」
栄養機能食品の表示に関する基準の詳細については
こちらの資料
をご参照ください。
J.
その他の情報について
ビタミンB
1
やビタミンB
1
誘導体は以下の症状が見られるときに治療薬として用いられます (13) 。
1.ビタミンB
1
欠乏症の予防及び治療
2.ビタミンB
1
の需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給 (消耗性疾患,甲状腺機能亢進症,妊産婦,授乳婦,はげしい肉体労働時など)
3.ウェルニッケ脳症
4.脚気衝心
5.次の疾患のうちビタミンB
1
の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合:神経痛・筋肉痛・関節痛・末梢神経炎・末梢神経麻痺・心筋代謝障害
(ビタミンB
1
とビタミンB
1
誘導体の医薬品としての成分名)
塩酸チアミン・チアミンジスルフィドなど。
これらの治療薬に対して、
過敏症の既往歴がある患者でショック・発疹等
が見られるときがあります。