ビタミンB6解説
Source: | Author:構築グループ | Published time: 2018-01-31 | 129 Views | Share:
A.ビタミンB6とは?
 ビタミンB6は水溶性のビタミンで、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンと、これらのリン酸エステル型であるピリドキシン-5’-リン酸 (PNP) 、ピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、ピリドキサミン-5’-リン酸 (PMP) の総称です (6) 。体内ではPLPとPMPの形で多く存在し、主な役割は、たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝の補酵素、神経伝達物質である生理活性アミンの代謝の補酵素、ホルモン調節因子などとして働いており、不足すると皮膚炎などが起こることが知られています (12) 。

B.ビタミンB6の供給源になる食品
 主な食品のビタミンB6含有量 (ピリドキシン相当量) は以下の通りです (5) 。 (可食部100 gあたり)




C.ビタミンB6の特性 (単位・化学的安定性) 
 ビタミンB6は白色から微黄色で水に溶けやすく、エタノールには溶けにくい性質を持ちます。また、光に対し不安定です (13) 。

D.ビタミンB6の吸収や働き
 摂取したビタミンB6は小腸で吸収されます。吸収されたビタミンB6は肝臓に運ばれ、肝臓の細胞中でピリドキサールキナーゼにより、リン酸化されます (12) 。生体内では主に、ピリドキサール-5’-リン酸 (PLP) とピリドキサミン-5’-リン酸 (PMP) が、アミノ酸代謝におけるアミノ基転移反応や、生理活性アミン (セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ヒスタミンなど) の合成に必須な脱炭酸反応、その他ラセミ化、および脱水素反応の際に補酵素として働きます (1) (12) 。また、PLPには、ホルモンの作用を調節する働きがあります (12) 。

E.ビタミンB6不足の問題
ビタミンB6不足はどのような時に起こるの?
1.ビタミンB6が不足した食生活を続けた時
2.以下のような、ビタミンB6の阻害剤を摂取した時 (12)

 しかし、ビタミンB6が単独で不足することは少なく、他のビタミンが不足したときに、同時に起こります (11) 。

ビタミンB6が不足すると、どのような症状が起こるの?
 湿疹、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、貧血、麻痺性発作、聴覚過敏、脳波異常、免疫力低下などが起こります。また、ビタミンB6依存症として、貧血、キサンツレン酸尿症、ホモシスチン尿症などが知られています (12) 。


F.ビタミンB6過剰摂取のリスク
ビタミンB6は水溶性ですが、過剰摂取時 (数 g/日を数ヶ月程度) には、感覚神経障害、末梢感覚神経障害、骨の疼痛、筋肉の脆弱、精巣萎縮、精子数の減少などを起こすことが知られており、食事摂取基準でも上限量が設けられています (12) 。

G.ビタミンB6はどのぐらい摂取すればよいか?
各年齢別のビタミンB6の食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2015年版) は以下の通りです (1) 。


H.ビタミンB6摂取状況
 平成29年の国民健康・栄養調査では、男性は平均1.20 mg/日、女性は平均1.05 mg/日摂取しています (14) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
 ビタミンB6は、栄養機能食品として表示許可されています。
・上限値は10 mg、下限値0.39 mgです。
・ビタミンB6の栄養機能表示
「ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
・注意喚起
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」

 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。

J.その他の情報
医薬品としてのビタミンB6製剤は、以下の症状の治療薬として用いられます (13) 。
1.ビタミンB6欠乏症の予防および治療 (薬物投与によるビタミンB6欠乏症を含む)
2.ビタミンB6の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
3.ビタミンB6依存症 (ビタミンB6反応性貧血等)
4.次の疾患のうち、ビタミンB6の欠乏または代謝障害が関与すると推定された場合:口角炎、口唇炎、舌炎、急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触性皮膚炎、末梢神経炎、放射線障害

(ビタミンB6の医薬品名)
塩酸ピリドキシン

・長期間・大量に投与すると手足のしびれ、知覚異常等の末梢神経障害が起こります (9) 。
・レボドパ (パーキンソン病・症候群治療薬) と併用すると、レボドパの代謝が亢進して作用部位への到達量が減少し、レボドパの薬効を減少することがあります (8) 。